五丁目ラジオ2 SUNDAY:「タイヤの夢、文楽の蝶、そして魂のギターへ」『今日の士郎3巻』リリースSP

オープニング

第135回の五丁目ラジオは、いきなり埼玉の車文化から始まります。

シャコタン、ハの字のタイヤ、夏場に履き潰されるスタッドレス。そして、なぜか見る「タイヤがパンクする夢」。普通ならそこで「疲れてるんじゃない?」で終わる話なんですが、五丁目ラジオはそこからなぜか文楽へ行くんですよね。道路とタイヤの摩擦から、人形浄瑠璃の浮遊感へ。地面をこすっていた話が、急に舞台の上でふわっと浮く。変な道筋なんだけど、聞いていると妙に筋が通ってくるのが怖いところです。

文楽の蝶が「バサバサ」と舞う。本能寺の変に不吉な気配を差し込む。人形なのに、むしろ人間より自由に動く。重力から解放された身体というか、足が地面に縛られていない感じがある。そこに伊藤せいこうさんの文楽案内の話も重なって、伝統芸能というより、かなり高度なフィクションの身体論みたいになっていきます。最新のガンダム作画と文楽が、同じ「浮遊感」の話として並ぶのも、この番組らしいところですね。

オープニング・キーワード

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あらいごうゼミ:ヘーゲルの『美学講義』第二章 音楽(三 音楽的な表現手段と内容との関係)【上妻ターン】

「あらいごうゼミ」では、ヘーゲルの『美学講義』を手がかりに、音楽とは何かを考えていきます。

ただし、いきなり哲学書を開いて難しい顔をするわけではありません。落語の「八っつぁんとご隠居」みたいな掛け合いで、ギターの名人が職工だったからといって、自分も機織り機を持ち込めば音楽家になれるのか、という、かなりひどいようでいて案外本質を突いた話から始まります。道具を持てば芸術になるのか。楽器とはただの物なのか。それとも、そこに精神が入り込んだとき、初めて音楽の器官になるのか。

ヘーゲル的に言えば、音楽は言葉の意味に従属するところから、音そのものが自由に動き出すところへ向かう。歌詞にくっついている音楽から、器楽のように、音だけで内面を動かす音楽へ。メロディとは、ただ気持ちを叫ぶことではなく、叫びが秩序を持ち、形を与えられたものなんだと思うんですね。魂の叫び、と言うと急にロック雑誌みたいになりますが、ヘーゲルを通すと、それがちゃんと芸術哲学の話になる。便利ですね、ヘーゲル。雑に使うと危ない薬味みたいなものですが。

あらいごうゼミ・キーワード

  • ヘーゲル
  • 美学講義
  • 音楽哲学
  • 付随音楽
  • 独立音楽
  • メロディ
  • 精神
  • 楽曲構成
  • 理論
  • 魂の叫び
  • 表現
  • 音楽
  • 専門家
  • 素人楽器
  • 対話性
  • 作曲家
  • 自由
  • 主観性
  • 客観性

エンディング

終盤では、音楽を「完成した作品」としてではなく、「その場で立ち上がる出来事」として見ていきます。楽譜は設計図であって、まだ音楽そのものではない。演奏者がそれを鳴らした瞬間に、記号が時間の中で動き出す。だから音楽は、絵画や彫刻のようにそこに置いてあるものではなく、鳴ったそばから消えていく、一回きりの芸術なんですよね。

ここで出てくるのが、イングヴェイ・マルムスティーンやヴァン・ヘイレンに象徴される名人芸の話です。速く弾けるから偉い、というだけではなく、楽器という物質を、演奏者の精神がどこまで貫けるか。安いギターであっても、弾く人の内面がそこに通ったとき、ただの道具が「魂の音」を出し始める。もちろん、これは少し大げさな言い方かもしれない。でもライブを見ていて、機材の値段では説明できない瞬間があるのも確かなんですよね。

エンディング・キーワード

  • ライブ
  • 現場性
  • 演奏家
  • 超絶技巧
  • 意味
  • イングヴェイ・マルムスティーン
  • 楽器
  • 精神
  • 融合
  • 即興演奏
  • 魅力
  • 時間的芸術
  • 音楽
  • ライブ感
  • 芸術的体験
  • 名人芸
  • 究極

告知など

最後に、告知です。日常のどうでもよさそうな話から、なぜか芸術や社会や『美味しんぼ』の深部へ潜っていく感じに心当たりのある方は、ぜひ文学フリマ東京42にもお越しください。

2026年5月4日、東京ビッグサイト南1・2ホール、W-28「銀河美味しんぼ学会」にて、アニメ『美味しんぼ』を一話ずつ読み直す批評本『今日の士郎 美味しんぼ完全感想シリーズ』を頒布予定です。

料理、職場、家族、昭和末期、そして山岡士郎という名の少し面倒な自由人。五丁目ラジオで話していることと、たぶん地続きです。

つまり、タイヤの夢からヘーゲルへ行ける人なら、士郎から公共哲学へ行く道も、わりとすぐそこにあります。道は舗装されていませんが。

というわけで……今回もお時間の許す限り、どうぞ最後までお付き合いください。